萩原 亮
Ryo Hagiwara
1985年神奈川県生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。
「人は対象の何を見てそのものらしさを感じるのか」をコンセプトに、現在は主に動物をモチーフに3DCGを用いて制作。
立体を構成する無数の稜線の中から、形の本質を捉えた最小限の線を抽出し、バーチャル上のxyz座標に配置することで立体を構成している。
その最適化された曲線によって結ばれた緊張感のある造形は、360度どの方向から鑑賞しても、モチーフの特徴を捉えたミニマルな形になっている。
大学時代、裏側まで透けて見えてしまう画面上の3Dワイヤーフレームで形作られた立体に惹かれたことが、現在の彫刻表現の原点になっている。
稜線は裏側まで見えていると、逆に認識に混乱を起こす。見えすぎてしまっても不具合が生じるのだ。
対して、優れているクロッキーは、一本の線が描いてあるのみにも関わらず、骨格の硬さや肉の膨らみ、対象の雰囲気すら表してしまう。
そんなクロッキーやピクトグラムのような「最小限で形の本質を捉えた」線を探り出し立体を制作している。
デジタルツールを駆使して生み出すインダストリアルな線は、従来の“のみ”や“へら”などを使った「手仕事」で生まれる線とは異なった性質を帯びている。
かつて200年前に、手仕事で立体物を細部までくまなく写実的に表現したロダン。
その美学や手法に抗うように、形を崩したり、概念を表現することで発展した20世紀モダニズム彫刻。
そして21世紀。もはや現実世界でモデリング作業を行わないこの表現は、はたして「彫刻」と呼べるのだろうか?
また、CGデータを活用した3Dプリント技術を用い、ブロンズの他に、陶、ナイロン、樹脂などの様々な素材と、カラーバリエーションを掛け合わせることで、
彫刻表現と素材の特性との関係性や、彫刻作品の価値について研究している。
現代ならではの技術を用い、大量生産技術を駆使しながらも、それぞれがユニークである作品群。
その概念はかつてのアンディ・ウォーホルのように、従来の造形表現が持つ唯一性や、手仕事と機械技術との関係性、造形表現の価値そのものを問いかける。
文:美術解説するぞー/鈴木 博文
- 1985年
- 神奈川県生まれ
- 2011年
- 東京藝術大学彫刻科卒業
- 2013年
- 東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了
- 2021年
- 横浜美術大学非常勤講師
展示歴
- 2009年
- 第65回ハマ展 横浜開港150周年記念賞
- 2010年
- ハマ展 会員・会友・一般受賞者展
- 2011年
- SOTTEN1.5
- 第67回ハマ展 協会賞
- 取手ストリートアートステージプロジェクト2011
- 2012年
- 第5回小江戸川越トリエンナーレ 入選
- 2013年
- Art Wave Exhibition vol.17~創造のイノベーション (RECT VERSO GALLERY)
- MOTビル(東京御徒町) エントランス 鉢植え デザイン・制作
- ビル名サイン デザイン監修
- 2014年
- 「さくら」 上野の森さくらテラス(東京上野)
- 2015年
- いりや画廊若手作家支援プロジェクトVol.4「初詣」
- 第79回新制作展入選
- 2016年
- いりや画廊若手作家支援プロジェクトVol.5「polite」
- Who By Art vol.5 (西武渋谷店B館8階 美術画廊)
- 2017年
- いりや画廊若手作家支援プロジェクトVol.8「バリュープライス」
- 2018年
- Bird Love Watch (RISE GALLERY)
- 2019年
- Bird Love Watch 002 (MEDEL GALLERY SHU)
- Bird Love Watch 003 (秩父表参道Lab.)
- 個展 HAGIWARA RYO EXHIBITION (いりや画廊)
- 2020年
- 第16回KAJIMA彫刻コンクール 入選
- 2021年
- Owls 2021 (四季彩舎)
- 個展 Weekly Sculpture (いりや画廊)
- POP-UP 3D #1 彫刻家 萩原亮 展 (DMM.make)
- 不忍池界隈の老舗の魅力を若手アーティストが再発見 (多慶屋)
- 2022年
- meets!art 2022 (CONNECT名古屋ショールーム)
- Future Artists Tokyo Satellites 2022-SHIP- (Hareza池袋)
- 大フリースタイル陶芸展 vol.1 (NADiff contemporary)
- 第8回神保町ヴンダーカンマー (奥野かるた店)
- D-art,ART 2022 (松坂屋名古屋店)
- 第2回KYOTO神保町ヴンダーカンマー (京都場)
- 2023年
- The Shibuya Week 2023 (渋谷スクランブルスクエア)
- anima (ウサギノネドコ)
- 個展 プロセスとかたち (ギャラリー自由ヶ丘)
- GINZA ART FESTA (松屋銀座)
メディア掲載
- 2021年
- インタビュー記事「3Dプリントによる新たな彫刻の在り方」 (fabcross)
- 2023年
- インタビュー記事「3DCGは彫刻の素材たり得るか——彫刻家・萩原亮が描く新たな「複製」のプロセスとかたち」 (fabcross)
レクチャー
- 2022年
- 特別講義「先端的コンテンツとアートシーン」 (東北芸術工科大学)
- 2023年
- ワークショップ「3Dモデリング基礎」 (横浜美術大学)
- 3Dモデリング特別指導 (女子美術大学)